記憶を蘇らせる丸子橋の亀
亀といえば甲羅。どうしてあんなに硬いものが皮膚に付着しているのか。人の指から爪が生えてくることに疑問を感じる人もいるはず。亀もきっと同じこと考えているんだろうな。重たいものを背負わせる運命ってどう思うんだろう。
現地はここらへんです
最寄り駅は新丸子駅。なんとなく歩いていたらここまで来てしまったので、二子玉川駅から1時間以上かかることだけは声を大にして言おう。
国民的アニメの話をしよう
亀の甲羅を背負う修行がある。約20kgほどの甲羅を背負って最終的には40kg程の甲羅を背負うという。
少年時代の長髪とつるっパゲは甲羅を背負って日常生活を送り、自分たちも気付かぬ内に成長している二人。
修行を終えて、甲羅を下ろしジャンプしてみる。
すると、物凄い飛躍して自分たちが飛んだことが本当なのか空中で不思議がる二人。
私は修行に強く憧れた幼稚園児だった。修行は凄いことなんだ、と。
修行すれば自分も高く飛べる
もしかしたら私にも物凄いジャンプ力を身につけるかもしれないと考えた。
実際には亀の甲羅なんてない。なので、当時は重いものを背負わずに自力でジャンプしまくったら高く飛べると思っていた。
膝を曲げて深くしゃがみ込み、思い切り天井に向けて飛びながら手を伸ばす。
なんとなく高く飛べた気がした。修行の成果が出た瞬間だ。
かめはめ◯も出せるかも
夕食後に家族みんなでテレビを見ている時、和室の座布団の上で胡座を組んで、目を閉じる。私は集中しているので周りの雑談、テレビの音は聞こえない。実際には聞いていないふりをしていた。
集中したつもりで気を高めていた。気が高まった瞬間に目を「カッ!」と開いて叫ぶ。
胡座を崩し、腰を深く落とす。
「××××波!!」
両腕を伸ばし、両手首をくっつけて、両手を目一杯広げる。
気功波は出ない。出ないけど、出たつもりでいる。
出ないけど、 一連の気を高めていた過程に悦に浸る。
私の中二病はここがピークだ。
あの時は何も考えてなかった
もしも本当に気功波が出ていたらどうするんだろう。
家族がテレビを見ている時に母親に向けてかめはめ波を繰り出していた。そんな時の母親は息子をどう思うんだろう。母親も気功波の意味はわかっているはず。それはそれは国民的アニメであり、現在も再び放送をしている程だ。
しかし、その時の母親の様子は覚えている。母親は笑っていなかった。素の顔で私のことを見ていた。喜びも怒りも哀しみも楽しみもない表情。
愛の反対語は無関心だ、と昔の誰かが言ってたような。
そんなことを思い出させてくれる丸子橋の亀であった。